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浦和家庭裁判所 昭和38年(家イ)177号 審判

本籍 米合衆国カリフォルニア州 住所 埼玉県

申立人 イリーナ・H・ハリソン(仮名)

本籍 申立人に同じ 住所 申立人と同じ

相手方 ジョン・T・ハリソン(仮名)

主文

申立人と相手方との一九五六年五月四日米合衆国ネヴァタ州クラーク郡役所受付にかかる婚姻届出による婚姻登録は無効であることを確認する。

理由

本件についての準拠法は、法例一三条により、それぞれ当事者の本国法であるカルフォルニア州法によるべきところ、昭和三八年六月七日当裁判所の調停委員会において、当事者間に合意が成立し、申立人と相手方との一九五六年某月四日、ネヴァタ州クラーク郡役所受付にかかる婚姻届出による婚姻登録は無効であることにつき争がないので当裁判所は、カルフォルニア州離婚法、同州ロスアンゼルス郡高等裁判所の最終離婚判決、当事者の結婚証明書、米大使館移民帰化局長アーネスト・イー・マフリハーデンの通知書に証人T・アンデルセンの証言、申立人及び相手方各審問の結果を総合すると申立人と相手方とは、一九五六年四月二一日証人アーサ・ケトレイ及びトーマス・ケトレイ立会の許に、一九五六年五月四日米合衆国ネヴァタ州クラーク郡役所に婚姻の届出をなして、その旨婚姻登録簿に登載されたが、申立人はそれよりさきに一九五五年六月一六日、米合衆国カルフォルニア州ロスアンゼルス郡高等裁判所において前の夫であるロバート・L・アンドレイとの離婚の判決言渡を受けているので、当事者の本国法であるカルフォルニア州法によれば該判決はその言渡の日から満一ヶ年を経過するまでその効力を発生しないすなわち判決言渡の日から満一ヶ年間は離婚の効力を発生しないことが明らかであつて、上記州法によればその離婚の当事者の一方が判決言渡後一ヶ年以内に次の婚姻をなしたときは、それがカルフォルニア州外でなされた場合においてもその婚姻は、無効であることが認められる。そうすると申立人と相手方との本件婚姻は、申立人の上記離婚判決言渡後一年以内になされたものであるから、無効であるといわなければならない。

よつて申立人の申立を正当と認め、日本国法例第一三条及び家事審判法第二三条を適用して主文のとおり審判する。

(家事審判官 西塚静子)

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